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リレーコラム:2023年12月『子育て奮闘記①』山下 優(やました ゆう)

執筆者紹介:山下 優(やました ゆう)

子どもたちからの愛称は「ゆう先生」。専門は作曲。

「どんなゲームをして、みんなと楽しもう?みんながおもしろがって音楽に取り組むにはどうしたら良い?」と常に考え、教室では子どもたちよりもゆう先生が元気!なんてこともしばしばあります。一方で、「ダメなことはダメ」と厳しく、愛を持って子どもたちに伝えてくれる。名前の通りとっても優しさあふれる先生です。

2023年9月に第一子が誕生し、担当していたピアノや作曲の個人実技レッスン講師をお休みしつつ、アノネ音楽教室を幅広くサポートしています。


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『子育て奮闘記①』


 私ごとですが、9月に第一子を出産しました。今だから言えることですが、実は妊娠と同時に病気が見つかり、一時は無事に出産できるかどうかもわからない状況でした。妊娠中に手術をしなければならず、お腹の中の小さい我が子は生き延びられるのか、また、その後も問題なく成長できるのか、心配な毎日でした。


 さらに、担当していた実技レッスンのクラスも、急遽別の講師に引き継がねければなりませんでした。病気のことがあっていつ復帰できるかもわからず、大好きな生徒たちとお別れしなければいけないことは、なんとも耐え難いのでした。生徒たちに心配させまいと必死に涙をこらえてレッスンをして、自宅でひっそりと涙を拭う日々でした。


 そんな私に、生徒たちや保護者の皆さまは「優先生ならきっと大丈夫です!」とあたたかく、力強く応援してくださり、それが何よりの支えになっていました。「早産の可能性がある」「流産の可能性がある」「母体の命の危険すらある」と言われ続けた妊婦生活でしたが、たくさんの方の応援のおかげもあり、無事に出産までたどり着くことができました。


 さて、そんなこんなで出産できた喜びを噛み締めるも束の間、次は怒涛の子育ての始まりです。沐浴で何度も我が子を湯船に落としそうになり「助けてくれーーー!」と叫び、おむつを交換しているときに気持ち良さそうに放尿され「ひょーーー!」と叫び、首がすわっていない我が子をどうやって抱っこしたらいいのかわからず「困ったーーー!」と叫び…。そんな調子で、困りごとの連続でした。自分はこんなに不器用なのかと痛感させられました。でも、妊娠中の苦悩も、産後の忍耐も、取るに足らない些細なことに思えてしまうほど、我が子は自分にとって尊い存在なのでした。自分がそんなふうに思うことに驚きながら、いつの間にか我が子に母親にしてもらっていたのだと気付き、感慨深い気持ちでした。


 しかし、一番の試練は授乳でした。母子ともに不器用なのか、上手に授乳できず毎回のように我が子は大泣きでした。入院中は、助産師さんが毎回付きっきりで色々試してくれて、何回かに1回はうまく授乳できるようになったところで退院を迎えました。退院時は、助産師さんに「大丈夫ですよ。赤ちゃんは飲み方を覚えていくし、成長していくと口も大きく開けるようになっていくから、この様子だと、練習していけば上手に飲めるようになりますからね」と励ましてもらいました。


 自宅に帰ってからは、頼りの助産師さんもおらず、案の定一人で悪戦苦闘。授乳のたびに、いわゆる”ギャン泣き”の状態。助産師さんの「練習していけば大丈夫」という言葉を頼りに、毎回のように30分〜1時間、一生懸命授乳を試みました。ですが、2か月になっても上手に授乳できず、さすがに私の心も折れていきました。そのとき、家族は「(我が子が)かわいそうだから、そんなに頑張らなくていいんじゃない?」と声をかけてくれました。家族は私を慰めてくれようと言ってくれた言葉なのですが、そのときの私にとっては、グサッと心に刺さるものでした。「こんなに必死になってしている授乳は、我が子にとってはかわいそうなことなの?お願いだから飲んでくれ… 」と、毎日毎日思い悩み、我が子のギャン泣きに合わせて、幾度となく私も一緒に泣いてしまっていました。


 しかし、助産師さんが言っていたことは本当でした。今でも忘れません。2か月半を過ぎたある日の夕方、うまく授乳できたときがありました。そこから徐々にうまく授乳できる頻度が増えていき、3か月になる頃には、だいぶスムーズにできるようになりました。あまりにも心が折れていたので、我が子の成長が嬉しくて、今でも授乳のたびに、毎日毎日「上手に飲めるようになったね〜!」と褒めちぎっています(笑)。


 教育現場に携わるなかで、「成長しない子はいない」ということはわかっていました。同じように我が子もきっと成長するとは思っていましたが、先行きが見えないなか、信じて見守り続けることが、こんなにも辛く、辛抱がいることなのだと知りました。「誰か、我が子は大丈夫だと言ってくれ」「今の方向性は間違っていないと言ってくれ」と乞い願うような思いでした。


 レッスンの現場に携わってきて、特に未就学児の生徒さんなど年齢が下るほど、「できなかったこと」にこだわることよりも、「できた」という経験をどれだけたくさん積み重ねられるかが大事だということを学びました。たくさんの「できた」という経験が集積し、いつの間にか「できなかった」ことが、全部「できる」ことに変わっていき、どの子も3か月もすれば見違えるように成長していくことを目の当たりにしてきました。奇しくも、我が子も3か月経ってスムーズに授乳できるようになりましたが、その過程で見守る側が色々な思いになることを、実体験として知りました。大事な我が子ゆえ、いつの間にか「できない」ことばかりが気がかりで、心配になり、自分で苦しい時間にしていたことに気づきました。我が子は3か月になる頃には体重が倍になり、口も大きく開くようになり、少しずつ少しずつ成長していたのに、そのことに目を向けられていませんでした。授乳がスムーズにできるようになった今、前の自分に「大丈夫、おおらかな気持ちで我が子を信じて、成長に目を向けてあげて」と伝えたいと思いました。


 助産師さんは、現場でたくさんの赤ちゃんやお母さまをサポートしてきた知見をフル活用し、私を励ましてくれました。ふとそのことを、私の生徒やその保護者の皆さまのことに置き換えて考えてみました。私の務めは、保護者の方が「辛抱してその子の成長を見守る」ようにするのではなく、「お子さまの可能性を信じて、成長をポジティブな気持ちで見守る」ことができるようお手伝いすることなのではないかと、改めて思います。その助産師さんのように、これまで現場で学んだことを活かしながら。


 アノネ音楽教室の講師は「今日のレッスンではこんなことができるようになりました!」「この曲が弾けるようになるためには、こんな練習をやってみましょう!」「おうちでの取り組みがお子さまの成長につながっていますね!」などと、お子さまのご様子をできる限りたくさんお伝えするようにしています。これからも、保護者の方が安心してお子さまをポジティブな気持ちで見守り続けられるように、スタッフ一同努めてまいります。


 実は、いずれ我が子にも音楽の習い事はどうかと考えています。授乳から手こずっていたので、これからもどうなることかわかりませんが、またいつの日か、子育て奮闘記②をお届けしたいと思います。


アノネ音楽教室  山下 優

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info@anone-music.comまで、ぜひお寄せください♪


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