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代表笹森コラム 2023年12月『年輪人間』

『年輪人間』


 先日は、4年ぶりの開催となった2023年度クリスマスコンサートを終えることができました。1年の集大成ともいえる特別授業のコンサートですが、終わってみれば一瞬でした。

過去最高の人数でお送りした演目も多くあったこのコンサートが、皆さまの心に響くものであったのであれば幸いです。


 今回は、大人のオーケストラに弦楽器の子どもたちが交じって演奏する機会もありました。彼らのなかには、設立当初から10年近く通う子どもたちがたくさんいて、そのレベルまで到達していることにも感慨深いものがありました。コロナ禍前のコンサートでも子どもと大人のオーケストラが共演したことがありましたが、演目はアノネ音楽教室で用意したオリジナル楽曲で、演奏レベルを当時の子どもたちの水準に合わせていました。対して今回はそういったことはなく、歴史に残るクラシック作品を、楽譜の変更なしに演奏できたのでした。これは、子どもたちの長年の努力の結果です。


 私個人としても、クリスマスコンサートで子どもたちの演奏を聴くと、「この世の中において、これほど美しいものは他にないのではないか」と思えるほどでした。子どもたちの活躍ありきであることはもちろんですが、彼らが舞台に上がるまで背中を押し続けてくださった保護者の皆さまのサポートの賜物でもあります。本当にありがとうございました。アンケートでのたくさんのあたたかいお声にも、私たちスタッフ一同励まされております。もちろん、いただいたご意見も大切にしながら、今後のコンサートにつなげてまいります。


 その数日後は、大掃除に勤しみました。大人だけでなく、ボランティアとして中学・高校・大学生の生徒たちも集まり、その後はお礼も兼ねてパーティーを開きました。当初は、年の瀬でもありますし、5人くらい来てくれればいいかなと思っていたのですが、蓋を開けてみると30人近くが集まったのでした。


 パーティーでは、夕食を食べたあと、ビンゴ大会を行いました。景品には、”ガリガリくん”から”ハーゲンダッツ”までいろんな種類のアイスがあり、ビンゴがそろうまでの早さや、ビンゴ数が多かった人から選べるという単純なゲームでした。ビンゴのマスにはクラシック音楽の作曲家名を書き、作曲家の名前が出るときに、阿部明日見(あべあすみ)先生がその作曲家の作品をその場で思い出して演奏してくれるという流れでした。


 私は司会進行をしながら、昔にタイムスリップしたような感覚になりました。今回のビンゴ大会は、花まる学習会の教室を借りて行ったのですが、その机と椅子は、幼稚園生や小学校低学年が使うものでした。そして、目の前にいる中高生や大学生のほとんどが、小学校低学年くらいの頃から集団音楽教室に通っていた教え子。10年近く経った今でも、ビンゴが始まるとその騒がしさやふざけ具合は当時と全く変わりません。何が嬉しかったかといえば、小学生時代より一回りも二回りも大きくなった彼ら彼女たちが、当時の関係のまま低学年時代に戻っていることでした。その瞬間が最高で、一緒にアノネ音楽教室を立ち上げたまさ先生こと坂村とも「感慨深いよね」と話し、これまでの月日をしみじみと思い出していました。


 私は、人の成長とは、木の年輪のようなものだと思っています。子どものときの自分が年輪の中心。成長して同心円状に新しい自分像ができていく。中高生や大学生で言えば、”おしゃれに目覚めて、達者な口がきけるようになる”という年輪を形成している時期。反抗期もあるかもしれませんが、元の自分がいなくなることはなく、”成長”として新しい自分に更新されていく。そうやって過去の自分を包摂しながら変化していくものだと考えているのです。そうなると、小学校の同級生と会えば小学校の頃の自分が出てくるでしょうし、高校時代の仲間と会えばその時代の自分が出てくることもあるでしょう。そして、今見えているのは、いつも新しい年輪の外側だけ。特にその子にとって困難な時期には、サポートする人がその子の内側の年輪を見てルーツを振り返ることで、評価やアプローチが変わったりするものです。


 アノネ音楽教室であれば、リトミックコースに通える1歳半から大学生までというスパンで、子どもたちの成長に携わっています。私の生徒には、今のところ10年前後見ている子たちが集まっていますが、このまま続くと1人あたり20年くらい見ていくことになります。それは、大人になるまでのほぼ全ての年輪を知ることができるということで、かけがえのないことだと思うのです。中高生や大学生たちと話していて思うことは、「今は中高生/大学生の年輪の人間だな」「今は低学年時代の無邪気な姿に戻っているな」といったことです。そのように、子どもたちはさまざまな時代のパーソナリティーを使い分けています。そしてそれは、その時代を一緒に過ごさないとなかなか見せてもらえないものです。それぞれの時代の”人間”を表出することができる相手はそう多くないですし、その相手になれるのは大変幸運なことです。


 大掃除の合間を縫って、男女を問わず、恋の相談などあまり親に言えないような相談もちらほら。そんな、いかにも中高生や大学生らしい一面がありながら、時にふざけ倒せる状況になると、全員が童心にかえり、小学生の頃の姿に戻っていました。たくさんの年輪に触れられる関係性は、子どもたちをサポートするうえで有益です。


 今年誰かに言われた「先生たちは新しい親戚なんですよ」という言葉が絶妙で、なかなか記憶から離れません。子どもたちと長い年月一緒にいられるこの職業が、「家族のように子どもを想うことができ、先生としてその成長に責任を持っている」ということだと、改めて思えます。それはただただ嬉しいことですが、志と覚悟がなければ難しい職業だと感じます。


 そして、この年末は今折り返し地点に来た中高生や大学生を見て、我が子のように大切に思える存在としてそこにいてくれることを、最高に幸せに思うのでした。


 最後に、今年も1年間ありがとうございました。変わらず応援してくださっている保護者の皆さまに支えられて、全てのコースがコロナ前と変わらない形に復活した年になりました。新年も皆さまにお会いできることを楽しみしております。どうか良いお年をお迎えください。



アノネ音楽教室代表 笹森壮大

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