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執筆者の写真広報 株式会社グランドメソッド

代表笹森コラム 2023年5月

 「私は、子どもたちに全力で音楽の楽しさを伝えようとするアノネ音楽教室の方針に共感し、彼らに音楽の楽しさを伝える仕事に関わりたいと思い志望しました。なぜこのように志望したかというと、私が小学生のとき、ピアノを習っていた同級生が次々やめていく姿を目の当たりにしたからでした。そして、その理由を尋ねると、先生から嫌がらせを受けた、親に無理やりやらせれて嫌になった、受験勉強に専念しなければいけなくなったなどという返答がありました。私は、幸いなことに音楽のおもしろさを教えてくれる先生に出会えましたが、彼らは出会えなかったのかもしれません。せっかくピアノに触れる機会があったにもかかわらず途中でやめてしまうのは、非常にもったいないと感じております」


 先日、集団の音楽教室の講師に応募をしてきた学生の履歴書に書かれていた志望動機です。実は、この履歴書を書いたのはアノネ音楽教室の生徒であるKくんで、大学1年生になった今でも続けています。部活の野球とピアノを並行して続けてきた彼の言葉ですから、なおのこと説得力があります。講師として働きたいという情報は事前に耳にしていましたが、志望動機を見て、恵まれた環境を自分だけではなく他の人にも届けたいという彼らしい優しさを感じました。


 Kくんのこれまでの歩みは、私たち講師の記憶にたくさん刻まれています。


 例えば、昨年の秋、大学受験で休会をする前の発表会でのことです。Kくんは、ガーシュイン作曲『3つのプレリュード』を選曲しました。実は、彼は小学1年生のときにもこの曲を演奏したことがあったそうです。その頃から大好な曲だったそうですが、当時は技術的に難しかったため、たくさん音を省いて演奏したとのことでした。

「ずっと原曲弾きたかったんすよねー!」

と、改めて挑戦したく選んだそうでした。


 その発表会には、Kくんが初めてその作品を演奏したときと同じ年齢の、小学1年生の子たちがたくさんいました。彼がそのことを知ると、

「前から、とにかくこの曲がおもしろいなって思ってすごい好きだったんで、みんなにも同じように『この曲弾きたいな』って思ってもらえたら嬉しいですね!」

と言ったそうです。


 私自身、彼が出演する発表会に何度も足を運びましたが、折に触れて

「後輩に憧れを持ってほしい」

という挨拶をしている姿がありました。


 そんな、大きな包容力を持ち合わせているKくんが講師として現場に入ってくれることは、本当にありがたいことです。先生が生徒をかわいがることは当たり前ですが、子どもたちからすれば、より年齢が近い大学生のお兄さんが自分たちをかわいがってくれるのは、特別なことです。


 音楽の醍醐味の一つに、年齢を超えてアンサンブルができるということがあります。アンサンブルの場では、後輩に自然と優しく接することができるものです。そしてそのバトンは、大学生のような上級生からスタートされていくことが多いものです。そのようなバトンをいつも渡してくれるKくんは、夏の信州の音楽合宿の8月17日からのコースにも参加します。参加される方は、ぜひ楽しみにしていてください。


 さて、5月のある日曜日に、私のチェロの門下生数名と、福島まで1泊2日の演奏旅行に行ってきました。メンバーは、1人の小学生と、男子中高生軍団です。「500人のチェロアンサンブル」ということで、全国からチェリストが集まる、10年に1度のペースで開催されているコンサートに参加することが、旅の目的でした。


 私自身は、彼らに対して最低限の引率はするものの、ほとんどは同志のような感覚で旅をしてきました。演奏そのものへの感動はもちろんあったのですが、何より一緒に演奏旅行ができるという喜びにあふれる時間でした。


 中高生男子たちは、うちの学校には女子が少ないとか、モテるモテないなどといった、親の前では絶対にしないような話から、夜中に勝手にコンビニに行こうとするところまで(もちろん止めたのですが)、思春期の男子ならではの言動を見せていました。お母さんに手を引っ張られていた時代から知っている子たちもいるのですが、その成長が嬉しかったのは言うまでもありません。私は立場上時として注意せねばならないこともありましたが、思春期らしい姿にたびたび共感が勝ってしまい、一緒に笑いっぱなしでした。


 その行程は120%充実したものでした。土曜日の朝に出発して、1日リハーサルをして寝たのは深夜。コンサート当日である次の日は福島マラソンのため、市内が通行止めになることになっていたので、朝5:00に起床し、6:30にホテルを出ました。そのまま午後からの本番を終えて、それでも帰りの新幹線でも寝ずに遊び、東京に着いたのは20:00頃。彼らが最後にラーメンを食べたいと言うので、東京駅のラーメンストリートでの旅の締めくくりとなりました。


 旅と音楽と感動。そんなコンサートに至るまでの、継続と努力。たくさんのものが詰まった演奏旅行でした。


 今回は私の門下生だけでしたが、2025年にはクラスを越えて、子どもたちみんなで海外への演奏旅行に行けることもまた楽しみです。今後も子どもたちには、人生を彩る原体験をたくさん届けていきたいと思います。


アノネ音楽教室代表 笹森壮大

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コラムに対するご感想などがございましたら、

info@anone-music.comまで、ぜひお寄せください♪


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