代表笹森コラム 2023年2月
この2月は、中学生たちの人生相談ラッシュでした。それも、多くは自分から連絡をくれたのでした。今回は、そのなかからある男の子のお話をご紹介いたします。
Aくんは中学2年生。アノネ音楽教室で幼少の頃からヴァイオリンを習っていて、一番はじめの音楽合宿にも参加しています。やがて受験を機に休会し、遠方の中学校に通うことになりました。レッスンに復帰しようにも、部活が始まるとなかなかそうすることができず、2年が過ぎようとしていました。そんなAくんに、去年の夏の音楽合宿の前に連絡を取ってみました。すると興味を示してくれて、最終的にはお母さまに背中を押していただき、合宿に参加することになりました。
その後はたまにジュニアオーケストラに参加するも、ヴァイオリンのレッスンの再開はしないまま。オーケストラの練習の際になぜヴァイオリンを再開しないのかと聞くと、
「まあしてもいいんだけど」
というような、どっちつかずな返答がありました。
「やりたい!」
とスッと出てこないあたり、何かつっかえているものがあるのだろうなと思い、一度しっかりと話してみるべく声をかけてみました。
踏み込んで話していくと、まず忙しいとのこと。実際にスケジュールを聞くと確かに忙しい。ただ、なんとなく問題はそこではなく、何か別に”やりたいと思わない理由”があるのだろうと感じました。そこで、
「やりたいって思わないの?」
と聞くと
「オケは好き。合宿も海外演奏旅行も行きたい」
とのことでした。そのまま話を進めていくうちに、
「受験休会を経てみんなと差ができてしまって、ついていけるか不安」
「毎日の練習が面倒くさい」
「練習しないことを指摘されたくない」
など、色々な気持ちを吐露してくれました。
思春期真っ盛りで恥ずかしいのでしょうか、特に中学生になると、本音の欲求を親に言わないようになることが多いものです。
「オケに行きたい」
「演奏旅行にいきたい」
など、本人の「〜したい」という気持ちについてです。自分が好きなもの、やりたいこと、興味があるもの。それらを、小さい頃のように無邪気に好きだとかほしいだとか言わなくなります。そして、本当は欲求があるのに
「別に」「知らない」「面倒くさい」「やりたくない」「どっちでもいい」
といった言葉で返す。これは思春期らしい健全な姿ではないでしょうか。親への反抗心も相まって、ついつい気持ちとは逆のことを言ってしまうわけです。逆というよりは、ネガティブな部分しか言葉にしない、という方が正しいでしょうか。
実際に、思春期の保護者の方々から
「やりたくないと言っています」
という相談を受けることも多くあります。合宿にしても、本当は行きたいけど、人前で弾きたくない、友達との差が気になる、でもみんなには会いたいといった気持ちが入り交じったりしています。しかしポジティブな部分だけ伏せて
「行きたくない」