2022年もあっという間に終わろうとしています。節目となるこの12月も、子どもたちや保護者の皆さまとのつながりにあふれた、充実した日々になりました。まさに”師走”という言葉がふさわしく、わくわくした気持ちで過ごしておりました。
テレビで放送される授業の収録(1月7日放送。詳細は文末に記載)。私の教え子が音大の教授のレッスンを受ける機会に恵まれたこと。楽しみだというお声を多くいただいていた海外演奏旅行の説明会。そして、1年の結びとして、雪国スクールを引率したこと。
TV撮影では、集団音楽教室 小学生ベーシックコースの授業を行ったのですが、久しぶりに各テーブル(班)に入って子どもたちをサポートした社員たちは、皆一様に感動していました。撮影後、子どもたちがいきいきと取り組む姿に泣きそうになったと語り合っていました。ここ数年は、私自身もレッスンが重なっていて集団授業をしばらく見られていなかったのですが、久しぶりに前にした集まった子どもたちの姿と力強い歌声に、慌ただしく仕事に追われ曇りそうになっていた心が洗われました。カメラマンやディレクターといったクルーの方々も興奮気味に近寄ってきて、
「めちゃくちゃいいことをされていますね。感動しました」
とお声かけいただきました。集団授業は実際に受けなければ実態がわかりにくいので、今回の放送で多くの方に知ってもらえることを、素直に嬉しく思います。
次に、第1回演奏旅行の説明会についてです。説明会を経て、演奏旅行の本申込前のエントリーを続々といただいております。すでに100件を超える勢いです。ここで改めて少しだけ情報をお伝えいたしますと、今回はウィーン少年合唱団の演奏を聴いたり、彼らの宿舎を見学したりと、アノネ音楽教室だけの特別なプログラムがたくさん詰まっております。説明会についてはアーカイブ配信も行っておりますので、参加が叶わなかった方もぜひご覧ください。
さて、先日はこんなことがありました。それは私のチェロの門下生であるAちゃんについて、彼女のお母さまにご相談したときのことです。Aちゃんは年中さんの頃から私のクラスに通っていて、現在は集団音楽教室 小学生ベーシックコースにあわせて通い、さらにジュニアオーケストラにも在籍。言うまでもなく音楽に触れる時間は多いです。意欲はもちろんのこと、演奏についてもポテンシャルがあるので、私個人としてはさらに深く学んでいけるとよいのではないかと感じていました。和声感やスケール感、ソルフェージュ的要素など、音楽のもっと深い部分に興味関心を持つようにしてあげたいという気持ちから、副科的な位置付けでピアノとソルフェージュ(小学生ベーシックコースの内容で身につけている素地をさらに強化するという意味で)を勉強できることが理想的ですと提案しました。すでにアノネ音楽教室だけで週3つのコースに通い、勉強の習い事を増やすことをご家族で検討されているなかでの提案でしたので、少し厳しいかもしれないと感じていました。まずはお母さまとじっくりお話をした上で、一度話を持ち帰っていただきました。しかし、ただでさえハードルの高い提案です。さらにお父さまの立場から考えてみると、自分の楽器としてチェロを習い、小学生ベーシックコースで音楽の基礎にはよく取り組んでいるところに、ピアノやソルフェージュまで習っても、何の役に立つか伝わらないという風にとらえられてしまっても仕方がないと思っておりました。
後日、改めてお母さまからご家族で話したことを教えていただきました。Aちゃん本人にもどうしたいか聞いたうえでお父さまと話したところ、お父さまは、
「そういう話にはなかなか巡り合わないのではないかな?この流れに任せていいのではないかな」
と仰っていたそうです。Aちゃんの可能性を理屈抜きで後押ししてくださるお父さまの言葉には、胸を打つものがありました。
ある教育セミナーで
「異なる種類の多くの習い事に通う子どもは、それぞれ一つひとつの習い事へのモチベーションが上がりにくい」
という話を聞いたことがあります。実際に現場を持っていて、習い事一つにおける興味関心を広げていくには、1週間毎日時間を取ったとしてもなかなか足りないなと感じます。それを踏まえて、Aちゃんの興味関心が伸び盛りの今だからこそ、なるべく多くの体験をさせてあげたいという思いが届いたことを嬉しく思いました。ただし、たくさんのことをやらせればいいということではなく、あくまでも関心を広げられるものに多く出会えることが大切だと考えています。
最後に、先日は花まる学習会主催の雪国スクールから帰ってきました。いつもは上級者のコースを引率するのですが、久しぶりに初級者のコースに参加してまいりました。開催地の片品に着いた初日は、ゲレンデのふもとでブレーキやうまく転ぶことの練習をして、合格したらリフトで上がって一緒に滑るという流れです。
スキーの経験がある方はご存知かと思いますが、転んでから起き上がるのはとても大変なことです。特に筋力がない低学年くらいまでの子どもたちはかなり体力を使い、時間がかかります。私が担当した2年生のBちゃんは、転びはするものの、弱音を吐かず頑張っていて、また他の子が転ぶとわざわざその子のところに助けに行って、板を外してあげるような子でした。まずスキー板を履くのに時間と体力がかかるのにも関わらず、他の子が転べばわざわざ助けにいくのです。感心しながら
「優しいね、ありがとう。なんでそんなに手伝ってくれるの?」
と聞いたところ、
「今度家族でスキーにいくときに、弟に教えてあげられるようになりたいんだ」
と返ってきました。
雪が降り、本格的な寒さのなかでのスキーでしたが、その言葉だけであと1週間ぐらいはがんばれそうなほど元気をもらえたのでした。
今年1年を振り返ってみると、この1本のコラムでは書ききれないほど、子どもたちや保護者の皆さまの一言一言にパワーをもらい続けてきたことが思い出されます。だからこそ1年間走り続けることができました。また、皆さまとの信頼の上で支えられていたとも、強く感じます。夏の合宿に始まり、ヴァイオリンの名器 ストラディヴァリウスの音色に触れる芸術鑑賞会、先述したTV撮影と、何においても定員以上のお子さまに来てもらえることが当たり前だとは思っておりません。このコロナ禍でもさまざまなイベントに送り出してくださった保護者の皆さまのご理解があったからこそのことです。私たちスタッフも、皆さまのご期待や信頼に応えられるよう邁進し続けてまいります。
改めて、教えているようで、もらっているものの方が多い気がするこの年の瀬。来年はもっともっと与えられる人となり、アノネ音楽教室そのものも、そんな場所にできたらと思っております。
良い年末年始をお過ごしください。
■番組情報
・放送日時:1月7日(土)19:00〜
・局名:TOKYO MX
※ご家庭のテレビでの視聴ガイド
・番組名:カンニング竹山のイチバン研究所
アノネ音楽教室代表 笹森壮大
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