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執筆者の写真広報 株式会社グランドメソッド

代表笹森コラム 2022年10月『海外演奏旅行が始まります』

更新日:2022年11月21日

 ”本物”に触れること。これは、アノネ音楽教室の構想当初から支柱に据えてきたことです。本当に美しいもの・ことに触れることで、感性がより豊かになり、”美しさの基準づくり”ができる。これが、私たちの理念です。


 豊かな感性を持ち、美しさに対する高い基準ができると、やがては”選び上手”になっていくものです。例えば、いい映画を観たとき、明日をよりよく生きようと思えたり、上手な人の演奏を聴いたら、聴いた自分も練習を頑張りたくなったりしませんか。良いもの・ことを知ったら、自分もより良い選択をしたくなるということです。


 人生は選択の積み重ねで決まっていくものです。だからこそ、たくさん本物に触れることで感性を育んで、選び上手になっていけると良い。ひいては、より豊かな人生を歩んでいけるのではないか。私たちの理念は、そんな哲学から来ています。


 そして、それを実現するための具体的な取り組みを、これまでずっと続けてきました。


 集団音楽教室で歌う世界中の民謡や教会音楽。作曲家たちの波乱万丈な人生を通して学ぶ世界の歴史や、作品の生演奏。個人実技レッスンの教本に掲載されている、お子さまのレベルに合っていながらも美しい作品の数々。オーケストラと共演して取り組む合唱。芸術鑑賞会で出会う、古今東西の素晴らしい伝統。この教室が、人生の礎を築き上げる子ども時代に、”本物を追う旅”ができる場所であるよう、レッスンの内容や教材、さまざまな特別な催しを考え、実践してきました。


 考えてきたことは大方実践してまいりましたが、コロナ禍を経てようやく実現しようとしていることが一つあります。子どもたちが主役の海外演奏旅行です。開校8年目にして、設立当初から多くの方々と

「いつか行きたい!」

と思い描いてきたアノネ音楽教室としての夢をようやく実現し、皆さまに届けられることになります。


 もちろん、年齢制限や日程の関係で全員で行くということはなかなか難しいかもしれませんが、一つの大きな取り組みとして、アノネ音楽教室にお通いの全員の学びに還元できるものにしていこうと考えております。出発までの準備の過程や現地での様子についてのお話だけでも、十分刺激があるものになるはずです。


 海外演奏旅行の時期は、約3年後の2025年3月(2024年度3月)を予定しております。場所は、オーストリアのウィーン。海外の大聖堂で子どもたちが演奏会を行います。説明会を12月に行うので、11月にお知らせする詳細をご覧のうえ、ぜひご参加ください。


 この演奏旅行の目的は”人生で最も美しいと思える経験”を得ることです。現地の風土や建物のもと体感する、古来受け継がれる教会音楽やクラシック音楽の美しさやエネルギー。モーツァルトやベートーヴェンが住んでいた家に垣間見る、彼らの生き様。教会の、建築物そのものとして迫力。街の景観や文化、美術作品が、長い歴史を経て織りなす魅力(美術作品については、事前に授業で学んだうえで、美術館にて鑑賞する予定です)。


 ”世の中にはこんなに美しいものがある”。そんな深い感動から、明日の選択が変わる。そんな、自分の価値基準が一段と高くなるような経験が詰まった旅になると確信しています。


 私自身は、幼少期に学んだ音楽教室であるスズキ・メソードで、生徒として2回、そして引率側として1回、海外演奏旅行に参加した経験があります。


 一番初めに行ったのはオランダでした。中学生から大学生で構成される弦楽団で行ったのですが、当時は最年少の中学1年生でした。そのときの記憶は鮮明です。現在アノネ音楽教室で歌われている『きりえ』の曲集(教材)にあるような教会音楽を、現地の同年代の聖歌隊の子どもたちと、私たち日本の弦楽団とのコラボレーションで演奏しました。それも、12月24日に大聖堂で行われる、クリスマスイヴのミサにてです。


 聖歌隊と弦楽器が紡ぎ出すハーモニーの美しさに、子どもながらに深く感動しました。こんなに綺麗な音楽があるのかという感動が、前述した教材『きりえ』のアイディアにつながりました。厳かで美しい。それに尽きる曲目です。


 具体的な曲目としては、1000年の昔から歌い継がれるグレゴリオ聖歌の数々があり、それらは『きりえ』にも反映されています。日本で子どもがこれらを歌う、それも原語であるラテン語や古代ギリシャ語で歌う音楽教室は全く無いか、あってもかなり稀でしょう。


 ちなみに、2025年の演奏旅行では、ヴォティーフ教会という場所で演奏をする予定ですが、そこのステンドグラスは、教材『きりえ』の表紙を飾るイラストのモデルです。


(左)は、教会音楽の曲集・教材『きりえ』の表紙。イラストは、オーストリアはウィーンにあるヴォティーフ教会のステンドグラス(右)がモデル。8年前に参加した、私にとって3回目の演奏旅行の際に撮影。


 また、ヨーロッパの大きな聖堂は、後にも先にも経験したことがないほどの残響空間でした。反響による余韻ではなく、高い天井に響きが吸い上げられて、なかなか消えないのです。その空間の中で響きわたる美しい曲目の数々。演奏しながら、常に感極まっていたことを覚えています。


 そのような、教会で演奏する際の響きの感じは、J.S.バッハやヴィヴァルディらの作品を真に理解するためにも重要です。彼らが生きたバロックの時代は、音楽の演奏は主に教会で行われるものでした。教会のような残響空間と、木造やコンクリートでできた普段の練習場所での響きは全く違います。初めて現地の教会で演奏したとき、それまでの和音の捉え方や音の切り方では通用しない部分が多く、空間による響きの違いの大きさを、身を持って知りました。技術的にも、クラシック音楽の本場での経験ができたことは大きな財産となりました。


 オランダと日本には、太平洋戦争で敵国として対立した歴史があります。そんななか、私たちのコンサートを観た現地の年配の女性から、演目の中にあった日本古謡『さくら』を聴いて、日本に対するわだかまりが解けたような気持ちになったと伝えていただいたこともありました。だからといって歴史に目を背けていいわけではありませんが、心に残る体験となったのは確かです。


 多感な思春期の時代の私が得た、音楽による深い感動や喜びは、物事の選択の指針になったのは間違いありません。その時期の数年のなかでも、海外演奏旅行での経験が大部分を占めると言っても過言ではありません。


 さて、これからアノネ音楽教室が取り組む演奏旅行ですが、2025年から3年ごとに展開していきます。2025年のウィーン(オーストリア)の後は、プラハ(チェコ)、パリ(フランス)など、音楽が盛んなさまざまな都市で演奏し、時期が合えば音楽祭に参加することも構想しております。


 コロナ禍以前より、『ミュージカルジャーニー』(音楽の旅路)というファミリー向けのコンサートを開催してまいりました。今後の海外演奏旅行は、本当の意味での「ミュージカルジャーニー」として、アノネ音楽教室の主たるカリキュラムの一つとして、続けていこうと考えております。学年によって中学・高校・大学各入試と重なることもあるでしょうし、年齢制限や、楽器の演奏における演奏レベルの指定はありますが、在籍している間に1度は経験していただけるようなものにできればと思います。ご家族の皆さまも応援ツアーに参加できるようにいたしますので、ぜひお子さまとご一緒に情報をお待ちください。参加の可否にかかわらず、わくわくするようなおたよりが届けられるよう、尽力してまいります。



アノネ音楽教室代表 笹森壮大

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コラムに対するご感想などがございましたら、

info@anone-music.comまで、ぜひお寄せください♪


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