代表笹森 9月コラム
先日、恒例の特別授業である芸術鑑賞会を行いました。今回は”ストラディヴァリウス”(世界最高峰といわれるヴァイオリン)が来たということもあり、2回行った公演のどちらにも、お子さまから保護者の方まで、本当に多くの方にお越しいただきました。ご来場いただいた皆さま、ありがとうございました。
今回はストラディヴァリウスの中でも、20億円という評価額の楽器をお借りすることができました。さらに、それを国際的に活躍するヴァイオリニストの正戸里佳(まさとりか)さんに演奏していただくという、豪華な企画になりました。
楽器の提供だけでなく、芸術鑑賞会の場で司会として解説までしてくださったのは、株式会社 日本ヴァイオリンの代表 中澤創太(なかざわそうた)さん。昨年、中澤さんにお会いする機会があり、その際に”ものは試し”として
「子どもたちにストラディヴァリウスの音を生で聴かせてあげたいのですが、できないでしょうか」
と伺ったところ
「ぜひやりましょう!」
と即答でご快諾いただいたのでした。
そのようにして実現した今回の芸術鑑賞会では、演奏とともにストラディヴァリウスの歴史についても触れていきました。特に好評だったこととして、今回来たストラディヴァリウスが、フランス国王ルイ16世の王妃マリー・アントワネットの専属ヴァイオリニストが所有した楽器だというエピソードがありました。 つまり、今回私たちが耳にした音色は、かつてマリー・アントワネットが日々聴いていたものだったということです。この話には、私も驚きました。
他に、ストラディヴァリウスは最近になって認められたわけではなく、当時から評価され、さらに歴史上の偉大なヴァイオリニストたちが脈々と受け継いできたことで価値が積み上がってきたという話もありました。もちろん、肝心な演奏も正戸さんによって美しく紡ぎ出されていました。お子さまから保護者の方、そしてアノネ音楽教室のスタッフまで、その場にいる全員が楽しめる幸せな時間になりました。
さて、先日私のチェロのクラスに通う6年生のSくんが、コンクールで入賞いたしました。小学生のコンクールといえば、一定以上の水準のものであれば、早い時期からの準備が必要です。高学年くらいの出場者も、低学年の頃から数年越しに準備して臨むものです。一方、参加したSくんがコンクールに出たいと言い始めたのは、1年ほど前のことです。それまでは特にそのような場を目指していたわけではなく、それ以上に本人の向上心や興味・関心を広げられるように努めてきました。
Sくんは、アノネ音楽教室が開校した年から通う1期生です。そんな彼がそれだけ専門的な場で認められるということには、講師として感慨深いものがありました。それは私たちの方針である、お子さまの興味・関心を広げる意欲重視のレッスンを通して、つまりスパルタの指導を経なくてもしっかり実力がつくという、一つの成功事例になったからです。
「子どもたちが音楽を楽しみのなかで学べる場所をつくり上げます。そして、もしプロになりたいと思う子が出てきたら、そのスタートラインに立てるような素地と素養を身につけていきます」