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リレーコラム:2022年10月『価値を伝える言葉』村井 美月(むらい みづき)

執筆者紹介:村井 美月(むらい みづき)

子どもたちから「みづき先生」と呼ばれていて、専門はピアノ。アノネ音楽教室では、ピアノの実技レッスン講師と、集団音楽教室『小学生ベーシックコース』『年中長コース』の教室長を務めています。さらに、花まる学習会でも、教室長として年中〜小学6年生までの集団授業を担当しています。学生時代から長年、学童保育や学習塾、音楽教室のアルバイトをしていたほど、子どもたちとワイワイ楽しく過ごすことが大好き。バイタリティにあふれる、エネルギッシュな先生です。

また、個人実技レッスンの発表会の運営も担っています。子どもたちの成長を何よりも大事に考え、授業やレッスンも、運営もより良いものを目指し続ける努力家です!

(紹介文:リレーコラム9月号執筆者 山下優)



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「価値を伝える言葉」

 個人実技レッスンの部門では、秋の発表会のシーズンが折り返し地点まで来ました。10月に出演した皆さまへの拍手とともに、11月に出番を迎える方々にもエールをお送りできればと思います。


 私自身は発表会の運営に携わっているのですが、自分の生徒に加え、各講師のレッスンに通うたくさんのお子さまの演奏に触れることができています。そんな幸せな役割を務めるなかで、今年も改めて感じることがあります。それは、たった一度の舞台での演奏が、演奏者たるお子さま自身に成長をもたらし、聴き手の心を動かすのだということです。


 舞台で演奏できるのは一度きりで、たった数分。ですが、その時間は”自分の力でやり切らねばならないもの”です。緊張のなか、頭が真っ白になっても、楽譜を見ることも、誰かに頼ることもできません。また、私たち講師や保護者の皆さまは、お子さまの不安な気持ちを痛いほどわかっていながら、見守ることしかできません。本番を迎えるという試練を前にすれば、子どもも大人も変わらず、一人で立ち向かっていかなければならないのです。しかし、そのように子ども扱いされない、ある種厳しい環境を経験することが、お子さまの自信や誇りにつながります。


 多くのお子さまが演奏する姿を見て、緊張に負けじと演奏していた過去の自分を思い出しました。

 

 幼稚園生の頃の私は、 緊張など全くせず、手を振りながら舞台を歩いていたと母から聞いたことがあります。まだ人前で演奏することに抵抗がなく、 みんなが私だけに注目してくれて、お辞儀をすれば大きな拍手を送ってもらえることが、何よりも嬉しかったものです。演奏すれば周りから褒めてもらえる。そのことは、お稽古を初めた頃ピアノに向き合い続けるうえでの大きな原動力になりました。


 しかし、曲の難易度が上がってくるにつれて、なんとなくの練習(”ただ弾く回数を増やす”、“通し練習だけ”など)ではうまくいかなくなり、緊張で平静さを失うことも出てきました。そのうち、ピアノの椅子に座ると