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リレーコラム:2023年4月『出会い』村井 美月(むらい みづき)

執筆者紹介:村井 美月(むらい みづき)

専門はピアノの演奏と、みんなで音楽を奏でる”アンサンブル”。子どもたちからは「みづき先生」と呼ばれています。

アノネ音楽教室では、ピアノの実技レッスン講師と、集団音楽教室『小学生ベーシックコース』『年中長コース』の教室長を務めています。さらに、花まる学習会でも、教室長として年中〜小学6年生までの集団授業を担当しています。

学生時代から長年、学童保育や学習塾、音楽教室のアルバイトをしていたほど、子どもたちとワイワイ楽しく過ごすことが大好き。バイタリティにあふれる、エネルギッシュな先生です。アノネ音楽教室に4人いるみづき/みずき先生たちのうち、唯一「ず」ではなく「づ」と書くそうです!


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「出会い」

 2023年度がスタートしました。感染症対策の面でさまざまな制限が解除され、「◯◯が3年ぶりに復活!」という言葉をよく耳にします。多くの方が、これまでとは少し違った新年度を迎えているところでしょうか。私自身も、子どもたち一人ひとりの見える世界がさらに広がっていく1年となるようサポートしてまいります。ちょうど夏の音楽合宿*の申し込みが始まったところですが、普段のレッスンに加えて、さまざまな場面でたくさんの子どもたちの成長に携われることが楽しみでなりません。

*夏の音楽合宿の詳細はこちら


 先述した合宿ですが、実は私の日々の働きのなかで、最も思い入れがあるものの一つです。


 アノネ音楽教室は、音楽のスキルを磨く場でありつつ、心の成長や、より豊かに生きる力を育てることを、真の目的としてきました。音楽合宿は、そんなアノネ音楽教室の取り組みを凝縮したようなものです。長い時間みんなで紡ぐ濃密な数日間で、技術と心の両面がぐんぐん育ちます。


 昨年の合宿で中学生と話した際、彼らが初めて参加した5,6年前の合宿の思い出を聞くことができました。中学2年のAくんは、

「おれ、こいつと合宿でけんかしたんだよね」

と、一緒に話すBくんの顔を見ながら笑います。理由は、デザートのカップに書いてあった動物の絵。けんかした二人とも、ライオンがよかったそうなのでした。当時は異なる曜日のクラスに通っていた二人でしたが、初めて出会った日に肩を組んで歌うほど急接近。その後、突如そんな争いをし出したというのです。中学生にして

「おれたちも若かったよなあ」

と言う、思春期の彼らの姿が愛らしいものでした。Aくんは、

「何度も練習が面倒だなって感じてきたけど、Bやみんなとまた集まれるって思ったら続けてこられたよ」

と締めくくるのでした。


 彼らが当時取り組んでいた曲目は、楽器を初めた頃ということもあり、小さなかわらしいものだったそうです。しかし、昨年の合宿の発表では、彼らはショパンやベートーヴェンの名作を立派に演奏していました。


 こんなふうに、音楽仲間たるお友だちの存在は、続けてステップアップするうえでの大きな支えになります。継続することは、物事を身につけるうえでの絶対条件でありながら、最も難しいことでもあります。だからこそ、仲間との出会いや切磋琢磨できるということがなおさら大切ですが、彼らの話を聞いて、改めてそのことを強く感じます。


 現在のAくんやBくんのように、「また会えたね」と何度も再会を重ねる子たちもいれば、5,6年前の彼らのような”合宿初めて組”も、毎年たくさんいます。私のクラスでも毎年大部分の子が参加しますが、昨年初めて組として参加した小2のCちゃんからは、申し込んでから出発するまでの間、何度か不安な気持ちを聞いていました。

「みづき先生そばにいる...?」

たまたま同じ合宿に参加することになっていたものの、私がピアノの担当だったこともあり、ヴァイオリンで参加するCちゃんのそばにいつもいるということはできません(ソルフェージュや音楽理論、音楽史といった基礎を扱う集団音楽教室に通う子は、教室長の専門とは異なる楽器を習っていることがあります)。ひとまず寄り添って聞きつつ、過去に初めての合宿をがんばったお兄さんお姉さんのお話を伝え、

「Cちゃんなら大丈夫!」

と励ますことにしました。


 しかし、実際には合宿を大いに楽しみ、たくさん友だちをつくり、出会った曲も大好きになって帰ってきたCちゃん。最終日には、4日間生活をともにしたお友だちや先生、合宿の舞台であった”音楽村”とのお別れが寂しくて涙するほど。おうちを離れるのが不安だったことが、つい3日前のこととは思えません。

「またみんなで弾きたいなあ。オーケストラで『サウンド・オブ・ミュージック』の合唱を伴奏するのがとっても楽しかったし、教本の曲もアンサンブルバージョンが素敵で、もっと好きになったよ!」

合宿の後の冷めやらぬ興奮や切なさは、またみんなで弾きたいということ、そしてそのためにも演奏技術を磨き続けていきたいという気持ちをより一層引き立て、Cちゃんはますます意欲的になりました。


 音楽を奏でるということは、その演奏を自分や誰かに届けることでもあります。そして、聴く人を思うからこそ、大切に音楽を奏でることができるものです。また、誰かとアンサンブルするのであれば、なおさら気づかいや思いやりが必要になります。


 合宿では、みんなで長く一緒に過ごすからこそ、楽しいことだけでなく、意見が合わなかったり、なんとか折り合いをつけなければならなかったりすることもあります。実技面でも、アンサンブル、つまり誰かと一緒に演奏することが中心となっているので、やはり目の前の相手にたくさん思いを馳せることになります。そのようにして、葛藤しながらも、より美しく表現するためにみんなで練習に励む日々や、切磋琢磨し続けられるつながりを得ることは、お子さまを生涯支えるものになるに違いありません。そんな宝物との出会いを今年もたくさんお届けできるよう、アノネ音楽教室一同尽力してまいります。


アノネ音楽教室  村井 美月

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コラムに対するご感想などがございましたら、

info@anone-music.comまで、ぜひお寄せください♪


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