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リレーコラム:2023年2月『お守り』勝野 菜生(かつの なお)

執筆者紹介:勝野 菜生(かつの なお)

集団音楽教室の教室長、ピアノ・作曲の個人実技レッスン講師、教材開発、そして特別授業 芸術鑑賞会の企画運営など、幅広い範囲を担当。「なお先生」や「かっちゃん」の名で親しまれています。

学生時代よりサポート講師として活躍し、長年子どもたちと触れ合い続けてきました。子どもたちの変化やちょっとした様子を見逃さない観察眼を持ち、初めて会う子どもたちとも、あっという間に信頼関係を築いてしまいます。作曲家としての生来のクリエイティブさが至るところに発揮され、ちょっとしたデザインをおしゃれに仕上げるなど、隠れたスキルで人を驚かせることも。さまざまな顔を持つ先生です!


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「お守り」

 私の実家には、私が6歳の頃に幼稚園の卒業記念で描いた絵が今も飾られています。その絵には、園庭でお友だちと一緒にドッジボールをしている様子が描かれています。


 私は、かなりこだわってこの絵を描きました。

「ドッジボールだから、自分のチームと、相手のチームの両方を描きたいな。帽子の色も変えよう。園庭の遊具の順番は、右から雲梯(うんてい)、鉄棒、ジャングルジム、滑り台だな!よし、園庭の様子がそのまま描けたぞ!」

そんなふうに考えて手がけた自信作でした。

 

 この絵について、園の先生はこうコメントしたそうです。

「なおちゃんは、すごく細かく絵を描きますね。同じドッジボールの様子でも、例えば“ボールを投げているところ”などを大きく書く子が多いです。でも、なおちゃんは、参加しているお友だちや、園庭にある遊具まで描いているのですよね」


 先生がどのようなニュアンスで母に伝えたのか、正確にはわかりませんが(おそらくポジティブなニュアンスで伝えてくださったのではないでしょうか)、母はこのコメントをネガティブな意味で受け取ってしまったようです。帰宅後夕飯を作りながら、私に

「先生にこう言われちゃったのよ!(なんで細かく描いたの?大きく描きなさいよ!というニュアンスを込めて)」

と言うのでした。

 

 母とのやりとりを詳細に覚えているのは、私にとって少なからずショックなことだったからでしょう。さらに、同じ幼稚園に通った2歳下の妹が、やはり卒業記念で絵を描いたのですが、なんとその絵は人物が大きく、ダイナミックに描かれていたのでした!私は

「お母さんに褒められる“大きな”絵だ!」

と思って、悔しい気持ちになったのでした。前述の出来事を経ても、絵を描くことを嫌いにはなりませんでしたが、家の壁に飾