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代表笹森 7・8月合併コラム

 猛暑日が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。私自身はこの2週間ほどで、外部の音楽合宿や、花まる学習会のサマースクールに指導や引率で参加してきました。夏休み期間もそのような機会を通して毎日のように子どもたちと接することができ、暑さに負けないエネルギーが湧いてきます。また、引き続きアノネ音楽教室の実技強化コースである”ミュージックアカデミー”でも指導を行いますが、そんな日々に感謝しつつ、子どもたちにとっても実りある時間となるよう尽力してまいります。


 外部の合宿には、ありがたいことに主催者の方が私の書籍を読んで共感してくださったご縁でお声かけいただき、講師として参加することとなりました。この合宿の講師陣には、人柄も演奏も格別に素晴らしい方々が揃っていました。ニューヨークのジュリアード音楽院、ウィーン国立音大、パリ音楽院(通称「コンセルヴァトワール」)など、海外の一流の音楽学校を首席で卒業された方や、海外の音楽学校の教壇に立つ方、そして国際コンクール入賞者から国内トップのオケの奏者まで、名だたる講師が一同に会する音楽合宿でした。


 その講師陣の中心となっていた方々は、留学して学んでいた頃の同級生やそのごきょうだいで、合宿はかれこれ10年近く開催されているそうです。それだけキャリアがある先生方なので、どういったレッスンをするのかとても楽しみでした。


 そんな先生方と一緒にアンサンブルの指導をしたり、個々のレッスンを覗かせていただいたりしたのですが、どの先生も椅子から腰が浮くほど前のめりに、情熱を持って指導されていました。1日のレッスンが終わった後も、子どもたちの練習に付き合う姿がありましたし、さらにその後も夜な夜な現場について語り合っていらっしゃいました。何よりそういった関係が学生時代から20年以上も続いている仲間で集って合宿を開催しているということに、私が描きたい未来の一端を見ることができたように思います。


 また、行程の一つとして、ディスカッションの時間がありました。まず、子どもたちは国際的なフルート奏者である藤井香織さんが創設した”MUSIC BEYOND”というアメリカの非営利団体のドキュメンタリー映画を見ます。その後、ニューヨーク在住の藤井さんとZoomでつなぎ、直接話すという流れで進めます。”MUSIC BEYOND”は、最貧国であるコンゴ民主共和国の発展を音楽を通して支援する団体で、映画はその活動にスポットを当てたものです。


 その映画で特に印象的だったのが、

「いい先生に習い、いい楽器を持って、家族のサポートや温度・湿度が管理された練習部屋があること。これら全てがなければならくて、あることが普通なのだと思っていた。でも、彼らは何一つ持っていないのに、音楽をやっているのです」

という藤井さんの言葉でした。そのように、現地の人たちがどんな環境でも音楽を愛し、楽しんで営む姿には、心に響くものがありました。


 初めての本番は楽器が足りなかったため、一人が弦楽器本体を持ち、もう一人が弓を持って2人で1台を演奏するという、まるで前衛作品の演奏会のような状況。練習のときも、楽器の順番待ちは当たり前。しかも、楽器が回ってくる頻度は1週間に1回で、その間必死に練習。そんな数々の仰天エピソードには、与えられた環境のなかで思い切り楽しんでやり尽くすという、昨今のコロナ禍をたくましく生き抜くためのヒントであふれていました。


 今後、私だけでなくアノネ音楽教室もつながっていけるように、企画を考え