代表笹森コラム 12月号

 先日、アノネミュージックプロジェクト*の際に募集したクラウドファンディングへのご返礼の演奏動画が一式完成しました。また、随時ご返礼としてプライベートコンサートを行っています。クラウドファンディングには100人以上もの方々にご応募いただき、誠にありがとうございました。作曲担当である坂村や阿部明日見が子どもたちや保護者の皆さまの個々のリクエストに応じて作曲・編曲したものも多くあります。各ご家庭それぞれのお気持ちに応えることができていれば嬉しく思います。改めてご参加いただいた皆さまに、心より感謝申し上げます。

*15か国語の民謡の合唱とオーケストラによる映像作品を制作したプロジェクトです。

動画URL:https://youtu.be/Gb7Qu8kt0bs


 4月から7月にかけて、コロナ禍だからこそ「音楽で世界にエールを送りたい」という思いから制作したこの動画ですが、先日はアメリカ在住の国連関係者の方の目に留めていただきました。オセアニア、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、中南米諸国、アメリカ・カナダと、時間差で世界各地につないでいく形式のオンラインイベントで扱っていただく機会にも恵まれました。


 一方、子どもたちを主役としてフルオーケストラが彩るクリスマスコンサートやスプリングコンサートは、残念ながら今年は開催できない状況です。そんななか少しでも子どもたちに楽しんでもらえるようにと、オンラインでの企画を実施してきました。夏の盆踊りの会や楽器作りワークショップ、そして先日のクリスマス会などです。保護者の皆さまや子どもたちからの配信時のチャットやアンケートでの温かいコメントに私たちも励まされ、元気をもらいました。私自身も、クラウドファンディングのご返礼のコンサートを行うなかで、目の前で喜んでくださる皆さまの姿を拝見して、改めて音楽を通して幸せをもらっているのは私たちの方なのだと痛感しました。


 ちょうどこのコラムを書いている最中にも行われているミュージックアカデミーは、どのコースも定員があふれてクラスを増設する必要があったほどの参加者数で、個人実技レッスンのオンライン発表会も用意した枠以上のお申し込みをいただきました。こうした一つひとつの企画に信頼して送り出してくださる保護者の皆さまに感謝の思いを抱きつつ、来年新型コロナが落ち着いた場合も想定して、クリスマスコンサートやスプリングコンサートの会場を既におさえています。


 教育関連を含むサービス業の企業が次々に倒産していく厳しい状況のなかで、音楽教育業界ではコロナ禍が始まった3か月前後でレッスンが完全に休講になった教室も、大手を筆頭に多くあるそうです。オンラインでもレッスンができるということを困っている音楽教育関係者に伝えましたが、生徒側の環境がなかなか整わず、すぐに教室全体でオンラインレッスンに舵を切るのは難しかったといいます。たとえば、ご家庭にデバイス(パソコンやタブレット機器)がない、あってもお父さんの仕事用のものしかない、またネット環境がないなどの問題があったそうです。そんななかでの子どもたちのモチベーション維持は大変だったことと思います。また、音楽家仲間からも、レッスンやコンサートがなくなり困窮しているという話を数多く耳にしました。


 一方で私たちも「音楽のレッスンをオンラインで行うのは難しいのではないか」「子どもたちの学びの機会がこれで途切れてしまうのか」と憂う局面もありましたが、花まるグループの組織力のバックアップがあり、すぐに前に進むことができました。花まるのオンライン授業を推進したコロナ対策チームによるアドバイスや監修のもと、24時間体制で移行を進めてきました。また、アノネ音楽教室の場合は、小学生以上の方にアプリ教材用のタブレット機器を導入していただいていたことによる、オンラインレッスンへの障壁の低さもありました。そして何より、急な方針の変更や数々のお願いごとに対する、皆さまのご理解とご協力があって、オンラインへの全面的移行が実現しました。改めて、本当にありがとうございました。


 一方で、このコロナ禍にあって、私たちなりに逆境をバネにして前進してきたものの、今年は新たな体験も行えず当教室の開校以来初めて生徒数が横這いの状態になりました。取引先の銀行の担当者とやりとりをしている中で、MBAプログラム(経営学修士課程)を学んでいるヴァイオリン講師である丸澤が隣にいることが心強く、彼の活躍も目の当たりにしました。弊社のアカウンティング(企業会計)に関しての実績を見たその銀行職員の方には「大体アート関係の経営者は勘で経営をしているから良いときは良いが、何かあったときや、こういったコロナ渦において何もできないものなんです。しかし、よく数字を見て管理されており素晴らしい」と、お褒めの言葉もいただきました。私に足りていない部分を支えてくれる仲間のありがたさと、チームだからこそできるアノネの強さも改めて感じることができました。振り返れば、この1年は改めて周りから支えられた日々が続き、今日このコロナ禍でも会社、ひいては教室が存続していることが本当にありがたく、来年もさらに精進していこうと前向きになれます。


 さて、今年は心の浮き沈みは全ての人にあったと思いますが、そんなとき、私は久しぶりに腰を据えて聞いたクラシックの作品に支えられました。特にレスピーギ作曲「ローマの松」の第4部「アッピア街道の松」です。ちょうどジュニアオーケストラの授業でもレスピーギの作品を扱っており、いつかの授業ではみんなでGoogleマップを使って、実際にイタリアにあるアッピア街道を散策したことがありました。


 この曲は、戦いに勝利した古代ローマの軍隊がアッピア街道を凱旋する様子を表しています。霧深い夜明けから始まり、遠くで行進する軍隊が少しずつ近づいてきて、やがて新しく昇ぼる太陽のもと、丘の上へ堂々と登っていくというシーンを描いています。実際に、こんなにも希望に満ちあふれたメロディと、短時間で心を揺さぶる曲には出会ったことがありません。私には、コロナ禍における方向性を示唆されているようにも感じましたし、この数か月この曲には随分と励まされました。


 どのような日々が続いても月日は流れますが、この毎日を懸命に生きるうちに、いつかは「登っていくだけ」という状況がまた始まるものだと思っています。ひょっとしたら、もうそのなかにいるのかもしれません。そう考えると、目前に迫る2021年が楽しみで仕方ありません。子どもたちとともにさらなる成長を目指して歩み続け、来年の今ごろである年の終わりには「あのときの経験があってよかった」と言えるような、明るい1年にしていきたいと思っています。また皆さまと過ごせる来年を楽しみにしております。今年1年もありがとうございました。


アノネ音楽教室 笹森壮大

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