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代表笹森コラム 1月号

更新日:2021年2月26日

 ここ最近、外部でセミナーを行うことが増えてきました。先日は「エル・システマジャパン」(世界の70以上の国や地域で音楽教育プログラムを行う組織の日本法人)の先生方に対する指導研修を担当させていただきました。幼児への指導の仕方についての部分をお任せいただくなどして、外部の講師さんと関わる機会に恵まれています。また、弊社の教材開発部門である「国際音楽教育研究所」の教材を発信するセミナーも実施し始めています。演目は、幼児の特性、教材の扱い方、音楽の基礎教育であるソルフェージュの必要性やその指導の仕方など、さまざまです。参加者の方々の年齢層や経歴が幅広く、お若い方だけでなく、指導歴30〜40年は当たり前で、最年長の方はなんと70代でした。


 参加されている先生方のすでに達観している面持ちに、若造の自分に何が伝えられるのかという恐れ多い気持ちもあるなかで、ごあいさつがてら参加された理由を伺うと、「まだまだ子どもたちのことがわからないときもあるし、少しでも自分の引き出しを増やしたい」と仰っていました。先達を前に襟を正す思いがわくと同時に、胸が熱くなりました。


 外部の先生方と、子どもたちにどのような指導を行えばいいかということをディスカッションしたり、私自身も一緒に考えながら学んだりできることに幸せを感じる一方で、もったいないなあと感じる瞬間もあります。特に、ある2つのことを聞くときにそう感じます。


 1つ目は、「落ち着きがない子は向かない」ということ。2つ目は、「うちの教室では趣味として楽しめればいいので、受験勉強が始まればレッスンは終わり」ということです。この2つは本当によく耳にします。私自身も試行錯誤してきたことゆえ、先生方の言いたいことはとてもわかりますが、子どもたちのことを考えると「もったいない」の一言に尽きます。


 個人的には、落ち着きがない子たちのことはひたすらに可愛く思えますし、教室を照らす存在にほかならないのですが、指導者の力量によって子ども側が振りまわされてしまうということもあるのではないかと思います。しかし、確かに先生方にとって彼らの扱い方がわからなければただただ困ってしまうのもわかりますし、そうなれば体験レッスンで生徒さんをお断りしてしまうのも自然なことでしょう。


 実際に、私自身が初めての音楽のお稽古としてヴァイオリンを習おうと体験レッスンを受けたとき、教室ででんぐり返しをしたら一発退場。「となりにチェロの教室があるからそちらへどうぞ」と、穏やかに促されたそうです。そのようにして行った先のチェロの先生は寝転がってもOK。幼児を幼児としてありのままに受け止めていただいたおかげで、楽しく続けられました。


 一方で、門前払いをするような先生がいじわるかといえば全くそんなことはなく、わざわざセミナーに参加するぐらい熱心なわけです。どの先生も「どんな子どもが来ても良き形で指導できるようになりたい」と願っていることは同じです。たとえば、先日のセミナーで「赤い箱」(3〜9才くらいまでの期間をこう言っています)の子どもたちの特性を一緒に勉強したときのこと。「じっとしていられない」という特徴があるからこそ、身体をたくさん動かして発散できるようにすると、子どもたちはより集中できる、といったことを伝えただけでも、先生方の表情は「なるほど!」と明るくなります。


 次に、2つ目の「音楽のレッスンは趣味だから、高学年や受験を前にしてだいたい辞めていくもの」とされてしまうことについてですが、これもよくわかります。というのも、一般的には進学塾に入り、学年が上がるにつれて、「ほかの習い事は全部辞めてくださいね」と言われることが一般的だからです。アノネ音楽教室の場合、系列の進学塾「スクールFC」「西郡学習道場」「シグマTECH」と連携していて、説明会ではよく「アノネと両立できますよ!」と伝えていますし、年間授業スケジュールも可能な限りすり合わせています。


 ちょうど先週「受験勉強をしながら音楽を続ける子どもたちをどのようにサポートするか」というテーマの社内勉強会を行いましたが、タイトな受験生のスケジュールを見ると、「隙間時間に練習しよう!」とだけ伝えるのは無責任なことなのだと改めて痛感します。心意気を伝えるだけではなく、保護者の皆さまと連携することが不可欠なのだと再認識しています。この勉